2021/01/13
外岩でオオスズメバチに襲われた体験談
出典:「生きもの好きの語る自然誌」
クライミング人生で最大の災難続き
10月中旬にお客さんと一緒に宮崎の比叡に登りに行きました。
2日連続の外岩でしたが2日間とも今までのクライミング人生で最大の災難続きだったので皆さんの参考になればと思います。
初日、鳥居エリアに行ったら日があたっていてとても暖かかった。
そこでまずはアップをしようと少し上のスラブを触りに行ったところ、ものすごくでかい蜂と遭遇した
初めて見るサイズで驚いた。調べるとオオスズメバチというものだった。
これに刺されたら恐らく入院レベルだろうなと言いつつも隣で登り出すお客さん。
正直その場から離れたかったが、シートとマットも敷いてしまっていて、移動も面倒くさかったので仕方なくセッションを開始した。
のぼっている途中に羽音がして気付くと目の前にきたりして、かなり恐ろしかった。それでも頑張ってトライしているとお客さんが異変に気づいた。
羽音が複数になっていた。見渡すとなんと2、3匹に増えていた。必要以上に近づいてくるので原因を探した。
ハチが近寄る原因?
そしてわかったのは匂いだった。お客さんが吸っていた電子タバコがブルーベリーのフレーバー付きで甘い香りがしていた。
その煙によってきていた。それならひとまず禁煙してそのタバコを遠く離れたところに持って行こうということで茂みの中に隠した。
すると蜂たちは誘われるように茂みの中に入っていった。
これで集中できると思いのぼっていると、またよってきた。自分が飲んでいたエナジードリンクのモンスターにたかっていた。
モンスターを岩がない離れた場所に置きにいった。するとまた誘われるようにモンスターの方に蜂たちは消えていった。
これで原因を根絶できたと思ったので本命の課題をやりに少しだけ移動した。
マットを敷いて念入りにオブザベをして気合を入れてスタートした。
その途端、かなりでかい羽音がした。びっくりして周りを見渡してみたがどこにもいない。
お客さんの方を見ると不自然な体制で微動だにせず自分の方を見ていた。
お客さんが全く動く様子がないのでどうしたのか尋ねるとかなり『動いたらだめ、でかい蜂が馬場くんの頭の後ろにいる』と言った。
それから長いことでかい羽音を耳にしていてもうどうしようもないということを悟った。
ゆっくりと四つん這いになり頭を下げて我慢していた。
まるで銃口を頭の後ろから突きつけられているようだった。
しかもいつ引き金を引かれるか分からないという恐怖で精神的にも追い込まれていた。
とうとう我慢できず思いっきり立ち上がり走って逃げた。なんとか回避できた。冷静になって気づいたことがその日はYouTubeの撮影をする予定だったのでヘアワックスをつけていた。フレーバー付きだった。
もうこのエリアから離れたかったのでマットを畳んで荷物を整理した。そして移動しようとしたら驚きの光景を目の当たりにした。
帰り道の通路の真ん中にものすごくでかいオオスズメバチの大群ができていた。恐らく6、7匹ほど固まって飛んでいた。
ここでもしも二匹同時に刺されでもしたら本当に死んでしまうんじゃないかというような話し合いをして解決策を探したがなかなか出てこない。
もう帰れないのかと諦めた時、お客さんがかろうじて通れる茂みの中を果敢に歩いて行った。それについていくとなんとか開けた場所に出ることができた。
それから近くの岩を少しだけ触ってかなり早めの撤収をした。
これからは虫の出やすい時期は甘い匂いの飲み物、ヘアワックスは控えようと決心した。
滑り止めのチョークなどでもフレーバー付きのものは虫がよってくることがあるようです。
目当ての岩を前にするとついついモチベーションが上がってしまって多少の障害は気にせず我慢しようとしてしまいがちです。
くれぐれも怪我のないよう無理しないようにしてください。
そして蜂の巣などを見つけた際には比叡ボルダリング組合などに連絡するようにしてください。
以上、オオスズメバチに襲われた体験談でした(文責・馬場)